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2006年01月17日
雲のむこう、約束の場所
雲のむこう、約束の場所
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去年の年末に BS2 で放送していたのを録画していたのですがなかなか観る機会が無く、やっと最近観ることができました。映像の美しさは「ほしのこえ」のときからの折り紙つきで、今回も新海誠さんのつくりだす美しい映像美を堪能することができます。
空や草花などのシーンは前作の「ほしのこえ」でも十分に観ることができましたが、今作には水辺のシーンが多く登場します。水没しかけた駅のホームなどは非常に好きなシーンです。少し水没し、水面からはかつての町の風景が見えるシーンなどは、鶴田謙二さんの「水素」や宮崎駿さんの「ルパン三世 カリオストロの城」などを思いおこさせます。
感想としては、前作の「ほしのこえ」も今回の「雲のむこう、約束の場所」も、私にはよくわからない、というのが第一印象です。細部ばかりに目がいってしまい本編を楽しむことができなかった、という感想です。これら 2 作品に共通してるのは、舞台設定が SF の上に成り立っているという箇所です。私が新海さんの作品をはじめて観たのは、多分「第 12 回 CG アニメコンテスト入選作品上映会」での「彼女と彼女の猫」がそれだと思いますが、これは SF ではなくファンタジー(といってしまっていいでしょうか?の)作品で、細部に目を向けることなく物語の中に入り込むことができた、と記憶しています。
SF 作品の難しいところは、状況の設定に説得力をつけようとするとその説明を正しく行わなければならず、それがしっかり行われていない場合には全てのつじつまがいい加減になってしまう、といったところだと思います。その状況を設定する意味がなくなってしまうということです。新海さんの作品には「こういった映像を作りたいからこういった脚本で」といったような、まず映像ありき、を感じてしまうことがあります(CG 映画ですのでそれもウリの一つであると思いますが)。真剣な SF チックであるがために感じてしまう違和感があるのかもしれません。「雲のむこう、約束の場所」の「夢」の話などは「うる星やつら4 ラム・ザ・フォーエバー」を思い起こさせます。
次回作品では SF の路線はとらずに(または抑えて)、ヒューマンドラマの路線を期待してしまいます。もっと個人個人を掘り下げていってもらいたいと思います。
投稿者 napier : 2006年01月17日 00:22
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