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2011年06月11日
「使用最大電力 15% の抑制」の数値目標の意味
東日本大震災の影響で今年夏の節電が叫ばれています。しかしいろいろと誤解されている面があるようなので、ポイントになる部分の再確認です。
報道などでは省略されて「15% の節電」が見出しで踊っていますが、この「15%」の示す本当の意味がなかなか浸透していないようです。
- asahi.com(朝日新聞社):15%節電を正式決定=東京・東北電力管内―政府 - 政治
http://www.asahi.com/politics/jiji/JJT201105130013.html - 節電目標、15%に緩和…大企業・家庭一律に : 電力 : 特集 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866922/news/20110421-OYT1T01145.htm
これらの報道を読んだりテレビなどで視聴して「月単位で 15% の節電(電気料金領収書でいう「ご使用量」を抑えよう)」と思った方は若干勘違いしている方です。実際には「昨年の使用最大電力に対して 15% の節電を、指定された期間・時間帯で行う」が正しい内容です。もちろん、この期間・時間帯以外の節電も心がけるということは間違いではありません。
- 政府の節電ポータルサイト「節電.go.jp」
http://setsuden.go.jp/ - 節電 ‐電力消費をおさえるには‐(METI/経済産業省)
http://www.meti.go.jp/setsuden/index.html
特に経済産業省の『電力需給対策について』の「夏期の節電啓発について」(別紙2) (PDF形式:198KB) (更新日:平成23年5月13日)には以下のようにあります。
今回の電力需給問題は、過去の石油ショックの際のような総量(kWh)の抑制ではなくピーク(kW)の抑制が求められている。このような今回の需給問題の性格、背景等についても国民の十分な理解を得つつ、適切な節電行動につなげていくため、新聞・テレビ等を通じた広報などは次の二つのステップで進めていく。① 第一段階:節電の必要性とともに、貯められないという電気の性質、総量(kWh)でなくピーク(kW)の抑制が必要であること、事業者や家庭に期待される役割、を中心に国民の理解を求める。
② 第二段階:電力需給の見通し、具体的な節電行動とその効果等を周知するとともに、個別具体的な節電アクション実施の呼びかけを行いつつ、国民・事業者の節電行動の定着化を図る。
ここにはしっかりと「総量(kWh)の抑制ではなくピーク(kW)の抑制が求められている」との説明があります。
また、節電.go.jp の このページにあるグラフが非常に象徴的です。
5月13日に公表された「夏期の電力需給対策について」では、「今年の夏期の電力ピーク期間・時間帯(7月~9月の平日9時~20時)における使用最大電力を15%抑制すること」 これが現在、政府が小口需要家皆さまに協力をお願いしている目標です。
といった説明がなされています。
これは事業者向けのページですが、どの時間帯に電力がよく使われていてどの時間帯に使われていないかを知ることができます。また、家庭の場合には経済産業省の『夏期最大電力使用日の需要構造推計(東京電力管内)』の夏期最大電力使用日の需要構造推計 (PDF形式:410KB) (更新日:平成23年5月26日)に以下のグラフがあります。
ちなみに大口需要家(契約電力500kW以上の事業者)には罰則の規程もあります。
- 電気事業法第27条による電気の使用制限の発動について(METI/経済産業省)
http://www.meti.go.jp/earthquake/shiyoseigen/index.html
これは電気事業法第27条に基づく使用制限について(説明会資料)(PDF形式:6,595KB)において説明がなされています。
瞬間的に制限値を上回っても 1 時間平均での使用電気量ですのでそのへんは考慮されているようです。さすがにこの夏に大口でこの罰則適用がなされる事業者は無いように願いますが。
正確に情報を読み取って無理なく節電をし、今年の夏のピーク電力消費を抑制しましょう。報道ではもう少し、ピークの電力消費を抑制する、という部分を強調してもらいたいと思いますね。
投稿者 napier : 2011年06月11日 20:01
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