2010年03月22日
ポアンカレ予想の証明、認定へ
- 「ポアンカレ予想」は解決 露の“隠遁数学者”に注目集まる (1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/100321/erp1003212132003-n1.htm
国営ロシア通信によると、米クレイ数学研究所は、数学上の未解決問題だった「ポアンカレ予想」をロシア人数学者、グリゴリー・ペレリマン氏(43)が証明したと認定した。
クレイ研究所の方でも認定になったようです。
- ポアンカレ予想 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/ポアンカレ予想 - arXiv - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/ArXiv#ポアンカレ予想の解決
1 年くらい前にポアンカレ予想の本は読んでいましたが、タイミングがなくてエントリは書いてませんでした。
- ポアンカレ予想―世紀の謎を掛けた数学者、解き明かした数学者
出版社: 早川書房 (2007/12/19)
ISBN-10: 4152088850
ペレルマンも魅力的ですが、この予想を作ったポアンカレも非常に魅力的な人物です。
- グリゴリー・ペレルマン - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wikiグリゴリー・ペレルマン - アンリ・ポアンカレ - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/アンリ・ポアンカレ
どの本に書かれていたか忘れてしまいましたが、現代のように数学が多方面に分岐・発展する直前の、それまでの数学をすべて理解することができていたはこの世代の人たち(ポアンカレやヒルベルト)までのようで、ヒルベルトの弟子に位置し、20 世紀最高の頭脳の一人といわれるジョン・フォン・ノイマンもその後の世代の人になります。
リーマン予想 (2)
本に出てきた名称に関して Wikipedia へのリンクです。個々を調べるための参照用に。若干体系的に理解しやすくなるようにインデントをつけましたが後半はフラットです。特にトポロジー関連と人名はここには入れてありません。
- 数学 mathematics
- 数学的構造 mathematical structure
ブルバキによって全数学を統一的に少数の概念によって記述するために導入された概念。- 代数学 algebra
数の代わりに文字を用いて方程式の解法を研究する学問として始まったが、現代代数学は一般的に代数系を研究する学問分野であると捉えられている。
- 数論 number theory
数、特に整数の性質について研究する数学の一分野である。整数論とも言う。ふつうは代数学の一分野とみなされることが多い。- 代数的構造 algebraic structure
集合に定まっている算法(演算ともいう)や作用によって決まる構造のこと。
- 一つの演算によって決まる代数的構造
- 二つの演算によって決まる代数的構造
- その他
- 集合論 set theory
集合とよばれる数学的対象をあつかう数学理論。- 圏論 category theory
数学的構造とその間の関係を抽象的に扱う数学理論の 1 つ。考えている種類の「構造」を持った対象とその構造を反映するような対象間の射の集まりからなる圏が基本的な考察の対象になる。- 束論 lattice theory
束 (lattice) に関する理論。- 概型 scheme; スキーム
可換環に対して双対的に構成される局所環付き空間。- 代数多様体 algebraic variety
最も簡略に言えば、多変数の連立多項式系の解集合として定義される図形と述べる事が出来る。- 非可換幾何 noncommutative geometry
可換性が成り立たないような代数構造に対する空間的・幾何学的な解釈を研究する分野。- ガロア理論 Galois theory
代数方程式や体の構造を "ガロア群" と呼ばれる群を用いて記述する代数学の理論。- 解析接続 analytic continuation, analytic prolongation
リーマン球面上の領域で定義された有理型関数に対して定義域の拡張を行う手法の一つ、あるいは、その拡張によって得られた関数の事。- 素数定理 Prime number theorem
自然数の中に素数がどのくらいの「割合」で含まれているかを述べる定理。- オイラー積 Euler product
ディリクレ級数を素数に関する総乗の形で表した無限積。- ディリクレ級数 Dirichlet series
リンク参照。- L関数 L-function
リーマンのゼータ関数を一般化したもの。- ガウス整数 Gaussian integer
実部と虚部が共に整数であるような複素数、すなわち a, b を整数として a + bi の形の複素数のこと。- 種数 genus
数学用語で、分野によって似通っているが微妙に異なる意味を持つ。- 素イデアル
環のイデアルで、ある条件を満たすもの。- 完備距離空間: 完備; complete
距離空間 M が完備であるとは、距離空間 M におけるいかなるコーシー列も M 内の点に収束すること。- コーシー列 Cauchy sequence
数列などの列で、十分先のほうで殆ど値が変化しなくなるもの。実数論において最も基本となる重要な概念の一つ。- バーゼル問題 Basel problem
級数の問題の一つで、Pietro Mengoli によって1644年に提起され、レオンハルト・オイラーが1735年に解いたもの。- ヴェイユ予想 Weil conjecture
数学者のアンドレ・ヴェイユが発表した、リーマン予想の類似で非特異代数多様体上の合同ゼータ関数における予想。- p進数 p-adic number
1897 年にクルト・ヘンゼル によって導入された数の体系の一つ。- 岩澤理論 Iwasawa theory
岩澤健吉が円分体の理論の一部として創始した、(無限次元拡大の)ガロア群の、イデアル類群における表現論。- 零点 zero
ある関数 f によって、0 に移される点、すなわち f(z) = 0 を満たす z のこと。
これらの他、本文中には F1 スキームという手法が取り上げられていましたが Wikipedia には無いようです。少し Web で調べてみたら著者の一人である小島さんのブログに言及がありました。
- 2009-06-08 - hiroyukikojimaの日記
http://d.hatena.ne.jp/hiroyukikojima/20090608
さて、大まかな概要が分かったところで中身の理解をしなくては。。
最後に一点、この本を読んでいて理解しづらかった言葉に「零点」がありました。ちょっと考えて何を言っているのかわかりましたが、数学用語として存在してるんですね。簡単な言葉だと、値域として 0 となる点、と言った意味です。
リーマン予想
- リーマン予想は解決するのか?_絶対数学の戦略
黒川信重、小島寛之 (著)
出版社: 青土社 (2009/6/8)
ISBN-10: 4791764870
こちらのブログ「新・加納裕のBLOGです」の無限級数に関するエントリ[1][2][3][4]を読んでいて興味を持ち、ちょうど休みだったこともあって買って読んでみました。無限級数に関しては大学数学のテスト以降は殆ど使っておらず、このゼータ関数に関しても名前を聞いたことがあるかないかくらいの認識でした。
本の内容としては数式はあまり出さず、言葉による説明と必要最小限の数式によってリーマン予想とは何か、現在までにこの予想を解明するためにどのようなアプローチがとられてきたか、が説明されています。その説明自体は難解ではありませんが(詳しい説明はしないので)、その数が多いことと説明されるそれぞれがどのような関係性で繋がっているかを把握しようとすると、突然数学の海の中に放り込まれます。これは言葉だけではなく図を使った説明があるといいですね(難しいとは思いますが)。
そんなわけで wikipedia とにらめっこで言葉だけでも列挙、と思ってたのですがとても短期間では無理そうです。。とりあえずは簡単に基本だけ。
- リーマン予想 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/リーマン予想 - リーマンゼータ関数 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/リーマンゼータ関数
さて、リンク元のエントリの無限級数の話題は NHK スペシャルが元だったようです。これですね。
- NHKスペシャル|魔性の難問 ~リーマン予想・天才たちの闘い~
http://www.nhk.or.jp/special/onair/091115.html
それで何個かブログをまわって調べてみたところ、この 50 分の番組とは別に BS Hi で 90 分の拡大版もあったようです。
- 素数の魔力に囚われた人々 ~リーマン予想・天才たちの150年の闘い~ - とね日記
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/c855d3c8628459df7371c2c53789c794 - 大栗博司のブログ : リーマン予想
http://planck.exblog.jp/12992975/ - 大栗博司のブログ : リーマン予想と天文学
http://planck.exblog.jp/13030531/ - NHKスペシャルの「リーマン予想」にガッカリ : wrong, rogue and log
http://mblog.excite.co.jp/user/kashino/entry/detail/?id=9345489
賛否両論と言ったところのようですね。