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2010年05月30日

月に囚われた男

エネルギー問題解決のため、月からヘリウム3を運搬する事業を手がけるルナ・インダストリーズ社。
月の採掘場は自動化されており、そこには任期3年で一人の人間だけが働いている。
残り2週間となった任期終了を前に、一人しかいなかった月の現場に不思議な出来事が起こる---。

知り合いに紹介されて観てきました。映画のトレイラーですでに違う人間が現れるということを知っていたため、そのアオリがどのように効果を表すものかと思っていましたが、単にその言葉そのものでした。

以下、ネタバレを含みます。

こういった期限もので思い出されるのは、永遠に学園祭前日を繰り返す「うる星やつら2 ビューティフルドリーマー」です。この映画も「永遠に繰り返される 2 週間前」という展開になるかと予想していました。

このような作品を考える場合、次の点で状況を分けることができます。

  • 無限ループもの
    ビューティフルドリーマーのように時間的な繰り返しがあるが、その繰り返しにおいて自分が他の自分と会うことはない。絶対時間を想定した場合、意識だけがある時点に戻って繰り返し、と言える。エンドレスエイトもこれでしょう。
  • パラレルワールドもの
    認識として存在する自分と平行な時間軸があり、それらの世界の自分と干渉を行う、もしくは入れ替わることもある。他の世界の自分の記憶を今の世界の自分が持つこともある。この分類では「ひぐらしのなく頃に」はこっちに入ります。
  • 時間トリックもの
    無限ループやパラレルワールドと思わせておいて、実時間が過ぎているもの。その人や観客を信じ込ませるために、世界の方がある程度の嘘をつく(そう見せる)もの。「Ever17」などがわかりやすいと思います。

今思いついた分類はこんな感じです。この「月に囚われた男」は、3 番目の「時間トリックもの」に分類されます。

2 週間という期限ではビューティフルドリーマーが思い出され、クローンの話では綾波が思い出され、登場人物の少なさをクローンで補間していましたが、密閉された空間、仲間とその空間および状況からの脱出、その状況を作り出す社会背景、という意味では「Cube」でした。

若干、自分の解釈として疑問に残っている部分は、サム(主人公)の見た幻覚の女性です。あれは妻であってるんでしょうかね?日本の映画だと女優さんの顔で劇中に気づくんだと思いますが、洋画ではなかなか初見の方の顔は覚えられません。ビデオレターの内容から考えるに、妻は夫のクローンを使った月現場への現地赴任にはあまり乗り気ではなかった。たぶん人道的な意味と、クローンとはいっても愛する夫であるため、なかなか割り切れるものではなかった。その分の贖罪の念から、自分の死後、彼(クローン)に対して真実を伝えるために姿を見せた、という解釈です。

それ以外では、月から地球に通信をするために木星経由で行う(遠いよ!しかも軌道によっては太陽を挟んで反対じゃん)、クローンを作れる技術や記憶をコピーできる技術があるんなら月開発だけじゃなくてもっと別の産業を興せるだろう、都合のいい AI だな(会社本部に対しての面とサムに対しての面の使い分け)、資材搬出用のロケットで人間が帰還できる、とか「え??」と思わせる部分がたくさんありました。

AI との関係はもうちょっと掘り下げてもいいと思いましたね。彼にとっては劇中の彼はたぶん 5 人目だったのでしょうから(ビデオレターでの娘は多分生まれて少したったくらい、長距離通信した際の年齢は 15 歳)。

と、自分の感想のリファレンスを残して他の方の感想を見てみます。解釈あっているかな。


投稿者 napier : 2010年05月30日 07:44


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