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2006年09月24日
意志
現代思想の中で重要な位置を占めるのは「人の意志」というものだと思います。
しかしこれには私は非常に違和感を覚えており、いわゆる「戦争モノ」の映画やドラマなどで全体主義に対する最大の脅威として個人の意志や思想が言われます。アンチテーゼとしての「御国はこういうけど、私は・・・」的な、今となっては何も考えなくても出てくるフレーズです。
こういった極端な例を出すとそれはそれで正しいもののように感じられます。例えば、恋愛ドラマなどでは「あなたの気持はどうなの?」的なフレーズにも集約されます。しかし結局、意志とは好き嫌いの結晶でしかありません。そしてこの好き嫌いとは感情から発するものであり、良い/悪いや正しい/誤りといった価値基準とは直交する概念だと思っています。即ち異なった次元に分類されます。
例えば人間の限界は何かというと、この意志や感情に集約されると思います。「間違った」ことであっても、それが「好き」なら、その人にとってそれは「正しい」ことになりえるからです。ここで難しいのが、この「間違った」という定義と、「正しい」という定義を誰が、どのように行えるか、と言うことだと思います。
最近のドラマではこの辺が曖昧で、「感情 == 正しい」という暗黙の了解が横たわっているように感じます。戦後の脅威とは、この辺の真綿の空気感が一番端的ではないかと最近では考えています。
投稿者 napier : 2006年09月24日 13:52
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